草木染め~子どもたちが教えてくれた忘れ物の気持ち

2016/11/15

のっぱらでは草木染めを年1回やることにしている

 

今年は去年と同じで玉ねぎの皮で染めることにした

去年はミョウバン媒染で今年は鉄媒染

布が自然の素材で自然の色に染まるのは美しい

だから、私は大好きだ

 

「玉ねぎの皮で染めるからお家で集めてね」

と子どもたちにお願いをしていた

当日、いよいよ草木染めの日

「みんな、玉ねぎの皮をこの箱の中に入れてくれる?」

 

ところが何人かの子が曇り顔

 

あれ?

あれ?

あれれ?

玉ねぎの皮がない!?

 

年長のAちゃん

表情がこわばっている

 

いつもめったに忘れ物しないしっかりもののお姉さん

よりによって今日持ってこなかった

 

たかが玉ねぎの皮ではない

この子たちにとっては大事件!!

 

考えたAちゃんが出した答えは

「やりたいけど忘れたからできない」

 

えっ!!それでいいの?

草木染は1年に1回

 

もう1回聞くけれどやっぱり

「やりたいけど、忘れたからやらない」

涙がぽろぽろこぼれる

 

草木染の時間もあるので作業を始める

1人自分と向き合うAちゃん

 

ずっとずっと1人自分自身と向き合った

ずっとずっと1人自分自身で考えた

 

大人の私たちはやってほしいと思った

忘れたって、みんなにお願いしたらいいじゃない

素直にみんなに言ってもいいんだよ!

 

周りはどんどん作業が進む

 

Aちゃん自身はもう腹をくくっている

せつない、せつなすぎる

 

1人の子がAちゃんが気になり声をかけるもAちゃんの気持ちは変わらなかった

 

今日の作業が大体終わるころ大人がみんなに声をかける

「ねえ、みんなは何かできることはなかった?考えられることはなかった?」

 

そう、Aちゃんが1人で考えている姿が見えていた

でも、1人の子以外誰も声をかけなかった

みんなの心にも突き刺さる

忘れ物なんてみんな経験ある

その時、どんなことを感じるかみんな知っている

 

もう1人の年長のBちゃんが言った

「考えてなかった」

そう、Aちゃんの気持ちに寄り添うことはできたはずなのに考えることから逃げた

それにBちゃんは気付いた

 

「次からどうする?」

「忘れないように自分で覚えておく」とAちゃん

また、ぽろぽろ涙が出てくる

 

「私は言う」とBちゃん

「忘れてたら貸してあげるよ!って言う」

忘れてしまった時の気持ち知っているのに何も考えずに

心を寄せることをしなかった

悔しい、なんで声を自分はかけなかったのか

Bちゃんの目から涙がこぼれる

 

年長の女の子2人が、悔しくって、自分が悔しくって泣いている

1人は自分が忘れてしまったこと

1人は忘れた子に気持ちを寄り添えなかったこと

 

Aちゃん、その日おうちに帰ってから

お母さんに話をした

当然お母さんも思う

「草木染やらせてもらえば良かったのに」

 

「だって、私年長だよ!」

(そんな簡単なことではないんだよ!!)

 

私たち、大人は気付かなかった

もっともっと簡単に考えていた

忘れたけどやりたい!って言えばいいのにって簡単に考えていた

 

Aちゃんはもう自分はやりたいから忘れたけれどやりたい!!って

言えるわけがない、1番大きいのだからって考えていた

(ま、まさか、年長児のプライドと責任、そして、下の子たちに示しがつかないと考えていた?)

 

 

 

彼女が1人考えていたのはそういうことだった

 

 

Bちゃんはおうちに帰ってからずっとずっと考えていた

 

なんでAちゃんの気持ちに寄り添えなかったか

なんで自分は声をかけなかったのか

自分は忘れた時の気持ちを知っている

心がずっとずっともやもやしていたと教えてくれた

 

 

次の日、そんなことがあったけれど2人は晴れ晴れとした顔だった

次の日は続きをした

みんなで一緒に続きをした

 

 

A ちゃんとBちゃんたき火に向き合う背中を見た

2人の間が縮まった気がした

これが絆?

きっとこの子たちは大切なものを心にしまえたんじゃないかなぁ?

そう信じる私たち

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